陶芸の釉薬のこと
陶芸は、焼き締めた粘土の上に
釉薬をかけて、もう一度高温で焼くことで色が生まれます。
釉薬の元になるのは、古くから大地にある石や鉱物、金属などです。
ベースになるものや、熔かすもの、発色させるもの。
その組み合わせを少しずつ変えることで、
無限ともいえる色のバリエーションが生まれるのです。
陶芸の中で、私がいちばん好きな部分です。
目に見える色味はもちろん、
つるつるしていたり、透明感があったり、
マットなかんじだったり、濁っていたり。
そうした質感も、多くは釉薬によって決まります。
(もちろんそれ以前にどんな土を使うかが関係していたり、
釉薬をかけずに焼く技法もあるのですが、細かい話は置いておいて。)
私の作品は、そうした釉薬によって生まれる陶器ならではの質感を
大切にしたいと考えており、かたちはなるべくシンプルに、
削ぎ落とされた美しさを持ってほしいと思いながら制作しています。
とはいえ最後は窯にいれて焼くので、
完璧に色をコントロールすることはできません。
窯を開けてみて「なんじゃこりゃ」ということもしばしばです。
(笑えないときもあります。)
でもきっとその「コントロールできない面白さ」こそが
私が陶芸に惹きつけられた魅力であり、
この先も探求しつづける楽しさであると思っています。
一つ一つ表情の異なるうつわの中から、
自分だけのお気に入りを見つけていただけたら嬉しいです。